大判例

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福岡地方裁判所 事件番号不詳 決定

主文

本件準抗告を棄却する。

理由

弁護人中川宗雄の準抗告の要旨は、被疑者高山久生は昭和三十年七月二十一日贈賄容疑で逮捕状の執行を受け、東福岡警察署に留置され、同月二十三日勾留状の執行を受け、引続き同署に勾留中の者であるが、福岡地方検察庁検察官佐藤貫一は同月二十三日被疑者に対し、弁護人との接見に関し、その日時等を同月三十日以降毎日午後五時から五時半迄の三十分間を指定した。しかしながら、身柄の拘束を受けた者は直に弁護人を選任し、その弁護を受ける権利があることは憲法第三十四条の保障するところであつて、この権利を制限する刑事訴訟法第三十九条第三項の規定は右憲法の精神に則り極めて厳密に解されねばならない。すなわち、同条にいう「捜査の必要」は主として被疑者の身柄を取調中であつても弁護人との接見のため随時もつてゆかれるようなことを防止する必要であつて、罪証隠滅その他広く捜査一般の必要に拡大してはならないと信ずるのであるが、身柄の処置上取調の前或いは取調終了後二、三十分間の接見をも訴されないとする特段の理由もないのに勾留請求の当日より七日に及ぶ長期の接見禁止を伴う前示指定は憲法並に刑事訴訟法に反する不当な処分でるあから之が取消を求めるというにある。

よつて一件記録を精査するに、被疑者高山久生は逮捕された当初から終始被疑事実を否認しており、かつ参考人取調の現況に鑑み罪証を隠滅する虞があると認められるところ、刑事訴訟法第三十九条第三項の「捜査のため必要がある」とは同条第二項の趣旨から勘案し公訴提起前の捜査の段階において罪証を隠滅のおそれがある場合をも含むと解するを相当とするから、右理由を以つて前示指定したこと自体が違法であるとは認められない。さらに右指定は検察官の裁量によつてなされるものであるが、本件指定が不法に裁量の範囲を逸脱したものであるとの釈明もないから、右指定が違法であるとはいえない。

よつて本件準抗告の申立は、理由がないから刑事訴訟法第四百三十二条、第四百二十六条により、主文のとおり決定する。

(裁判官 石丸俊彦)

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